教室・講演会等のご案内

糖尿病教室

新型コロナウイルス感染症が流行拡大している状況を考慮した結果、院内での開催を中止させていただく事になりました。

今年度の糖尿病教室は、糖尿病の治療や療養に役立つ情報を、毎回異なるテーマを設けて、ホームページでご紹介していきます。

第5回 糖尿病と運動(リハビリテーション室 理学療法士 笠原剛敏)

糖尿病の発症危険要因に、運動不足、肥満によるインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪いこと)などが挙げられます。
糖尿病を予防・改善するためには、運動を行うことは大切です。
運動を行うことで、筋肉の中のグリコーゲンが減少し、血液の中からブドウ糖を消費することで血糖値を下げます。さらに運動を続けることで、血糖値を下げるだけでなく、肥満の解消、動脈硬化の予防につながり、血圧を下げる効果があります。
無理のない範囲で、毎日の生活に運動を取り入れましょう。

1.安全に運動を行うためのポイント

  1. どんな運動が自分に合っているか主治医と相談しましょう。
  2. エネルギーをしっかり消費できる有酸素運動(ウォーキング・スイミングなど)を通し、少しきついと感じる程度の運動をできれば毎日、少なくとも週3回以上行いましょう。
  3. 自分に合った運動を無理なく、長期的に続けましょう。
  4. 糖尿病の代謝調整が極端に悪い(空腹時血圧値250㎎/㎗以上、尿ケトン体が陽性)方、最高血圧が180mmHg以上の方、増殖網膜症による新鮮眼底出血のある方、糖尿病性腎症が進行している方、虚血性心不全や心肺機能に障害がある方、骨・関節疾患を患っている方、糖尿病性神経障害のある方は、運動をすることは進められません。まず主治医に相談してください。
  5. いつもより血圧が高い、いつもより心拍が乱れている、いつもより体温が高い、頭が痛い、からだが重だるい、下痢がある、腹が痛い、寝不足、食欲がない、動くとすぐに疲れるなどの症状が見られる方は、運動を中止しましょう。
  6. 空腹時に運動すると低血糖の恐れがあります。また血糖降下剤、インスリンを使っている方においても、低血糖が起こりやすいです。食後1~2時間を目安に運動を行う事が望ましいです。低血糖に備え、ブドウ糖を携行しましょう。

2.運動の実際

糖尿病予備軍の方、糖尿病の方、合併症を伴う糖尿病の方では、運動の内容を異なります。
糖尿病予備軍の方は、積極的に運動を行うことで、糖尿病を予防できます。
糖尿病の方は、運動効果が得られやすい強度・実施時間対応・頻度を求めることで、HbA1cを下げ、血圧を下げる効果があります。
合併症を伴う糖尿病の方は、積極的な運動を行うことで合併症などの症状を悪化させる恐れがあります。主治医に相談しましょう。

3.運動するきっかけ作りが大切

日常生活の中で、楽に運動ができる機会を見つけることが大切です。
具体例を下記に挙げました。可能な範囲でチャレンジしましょう。

  • エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使って上り下りをする
  • 歩数計をつける (65歳以下は1日8000歩以上、65歳以上7000歩を目標)
  • 少しの距離なら車を使わずに徒歩か、自転車を使い移動する
  • 近所で運動ができる施設やいっしょに運動ができる仲間を探す
  • ウォーキングシューズを普段から履いて歩く
  • 椅子にすぐに座らず、立ったまま作業して過ごす時間を作る

4.運動の種類を知ろう

インスリンの効果を高め、血糖値を下げる運動には、大きく3種類の運動があります。
それぞれの運動の効果特徴を知り、行いましょう。

  1. からだの酸素を使い、血糖値を下げ、体脂肪を減らすのに効果的な有酸素運動
    ウォーキング、ジョギング、自転車走行など
  2. 自分の弱い部分の筋肉を強化し、腕・足腰を丈夫にする無酸素運動(筋肉トレーニング)
    腕立て伏せ、スクワット、つま先立ちなど
  3. からだをしなやかにし、血行を促し、筋肉疲労を和らげる柔軟体操
    ラジオ体操、股割り、アキレス腱伸ばしなど

5.運動の強度、やる時間、頻度、短期効果、長期効果を知ろう

  • 【 運動の強度 】
    少しきついと感じる運動を1回15分以上、続けましょう。
    50歳未満の方は、1分間の心拍数が100~120拍で行いましょう。50歳以上の方は、1分間の心拍数が100拍以内で運動を行いましょう。
  • 【 運動をやる時間帯 】
    食後1~2時間が、効果的です。基本、いつでもできる運動を続けることが大事です。
  • 【 運動の量・頻度 】
    運動量は、1回15分~30分間を1日2回、行いましょう。できれば毎日(少なくとも3回以上の頻度)運動をし、1週間で合計、150分以上の運動を目指しましょう。
  • 【 短期効果 】
    食後に運動を行うと、急激な血糖の上昇を抑え、血糖の低下につながります。
  • 【 長期効果 】
    数ヵ月間、運動を続けることで、筋肉量が増加し、基礎代謝量が向上することで、インスリンの効果を高め、血糖値を上げにくくさせます。

6.毎日続けられる運動

柔軟体操

運動する前の準備運動、運動した後の整理運動として、柔軟体操をしましょう。
柔軟体操は、筋肉を伸張する運動です。息を止めず、ゆっくりと反動をつけず、無理なく10秒間、筋肉を伸張します。伸張する強さは痛みがなく、伸ばされている感覚がわかる程度です。また自分に合った、また必要と思われる体操を行いましょう。
1セット5回(左右、多方向の場合はそれぞれ3回)で、1日3セットを行いましょう。

■ 首の筋肉の柔軟運動
両手を膝の上に置いた椅子座位姿勢で運動を開始します。ゆっくりと息を吐きながら、首を後屈・前屈・左側屈・右側屈の順で、それぞれ10秒間、筋肉を伸ばします。

■ 肩・腕の筋肉の柔軟体操
両手を組み、手のひらが外側に向くようにして、肘を前方に伸ばします。その状態でお腹を凹ませ、息をゆっくりと吐き、腕・肩の筋肉を10秒間、伸ばします。

■ 背中・お尻・脚裏の筋肉の柔軟体操
椅子の前に立ち、両手を椅子座面につけた姿勢で運動を開始します。首・からだを前屈し、かかとに体重を移し、背中・お尻・脚裏の筋肉を10秒間、伸ばします。

■ もも裏・ふくらはぎの筋肉の柔軟体操
両足を開いた立位姿勢で運動を開始します。右片足に体重を移し、左片足を外側に向けます。右膝を曲げ、左足の内もも・もも裏・ふくらはぎの筋肉を10秒間、伸ばします。脚を変え、反対側も行います。

筋肉トレーニング

筋肉の弱化がしやすい肩関節・股関節周囲の筋肉を鍛えましょう。
筋肉トレーニングは、筋肉を強化する運動です。息を止めず、ゆっくりと反動をつけず、無理なく運動を繰り返します。ダンベルの重さは、自力で容易に10回以上繰り返せる重さで行いましょう。
1セット10回、1日3セットを行いましょう。

■ 腕の筋力強化 1
椅子座位姿勢で運動を開始します。両手にペットボトル(500mL)を持ち、腕を前に60度持ち上げます。この位置まで上下運動を繰り返し動かします。可能な方は腕を90度以上持ち上げて行ってください。

■ 腕の筋肉強化 2
椅子座位姿勢で運動を開始します。両手にペットボトル(500mL)を持ち、腕を横に60度持ち上げます。この位置まで上下運動を繰り返し動かします。可能な方は90度以上持ち上げて行ってください。

■ 股関節筋群の筋肉強化
背筋を伸ばし、胸を張った立位姿勢で運動を開始します。軽く腕を振り、左右脚を軽く持ち上げ、足踏み運動をします。余裕がある方は、腕をしっかり前後に振り、ももを腰の位置まで持ち上げて行ってください。

■ 膝関節筋群の筋力強化
肩幅に脚を広げ、両手を横に拡げた立位姿勢で運動を開始します。かかとが床から離れないよう、ゆっくりと膝関節の屈伸運動をします。膝を曲げる時は、おしりを後ろに引いて両手でバランスを取り行ってください。
立位が不安定な方は、椅子につかまり行います。

糖尿病教室 バックナンバー

No. テーマ 担当者
第1回 糖尿病とは 安藤 久恵(糖尿病内科医長)
第2回 糖尿病の合併症 安藤 久恵(糖尿病内科医長)
第3回 糖尿病の検査 田中 聡美(糖尿病看護認定看護師)
第4回 糖尿病の食事【基礎編】 青木 淳子(管理栄養士)