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第2回 糖尿病の合併症(内分泌代謝・糖尿病内科医長 安藤久恵)

糖尿病の合併症には細い血管が傷つく【細小血管症】と心臓や脳、足の血管などの太い血管が傷つく【大血管症】があります。定期的な検査をうけて予防し、早めに治療をおこないましょう。

細小血管症

神経障害

足のしびれや痛み、冷え、足がつるなどの症状が多くみられます。
自律神経が障害されると、立ちくらみや下痢・便秘・勃起障害などの症状が出現します。

検査
アキレス腱反射、振動覚検査、末梢神経伝達速度、心電図R-R間隔変動

網膜症

高血糖の状態が10~15年つづくと毛細血管が障害されて糖尿病性網膜症を認めるようになります。初期には視力低下などの症状がないことがほとんどなので、眼科で定期的に検査をうけることが必要です。
病期による眼科の受診間隔の目安は以下のとおりです。

    <病期>

  • ① 網膜症なし   1回/1年
  • ② 単純網膜症   1回/6か月
  • ③ 増殖前網膜症  1回/2か月
  • ④ 増殖網膜症   1回/1か月

検査
定期的に眼科を受診しましょう

腎症

腎臓には糸球体が100万個あり、血液をろ過して老廃物をとりのぞいて尿へ排泄します。
糖尿病性腎症が進行すると、ろ過機能が低下してタンパク質も尿に排泄されます。

病期 尿検査 eGFR(mL/分/1.73m²)
第1期 正常 30以上
第2期 微量アルブミン尿 30以上
第3期 持続性蛋白尿 30以上
第4期 問わない 30未満
第5期 透析療法  
検査
尿中アルブミン排泄量(随時尿)、尿蛋白定量、尿素窒素、クレアチニン、eGFR
  • 減塩をこころがけ血圧を130/80未満にしましょう。
  • 脂質異常症についてはLDL 120(冠動脈疾患あり100㎎/dL、HDL 40mg/dL、
    TG 150mg/dL未満にしましょう。
  • 主治医に確認して目標の血糖値をめざしましょう。
  • たばこやお酒を控えましょう。
  • 適正な体重を保ちましょう。

大血管症

腎症

糖尿病患者さんでは通常の2~3倍、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・末梢動脈疾患などの病気になりやすくなります。特に症状がなくても定期的な検査をうけて予防しましょう。

  • 血圧、脂質、血糖値を適正に保ちましょう。
  • たばこやお酒を控えましょう。
  • 適正な体重を保ちましょう。

検査
心電図、心エコー、冠動脈CT、冠動脈造影、頸動脈エコ―、頭部MRI
下腿~上腕血圧比(ABI)、脈波伝播速度(PWV)