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第3回 糖尿病の検査(糖尿病看護認定看護師 田中 聡美)

糖尿病は、自覚症状を感じにくいことが多いため、血糖コントロールの状態を検査を受けることによって把握することが必要です。

1.HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー) 過去1~2ヶ月の平均の血糖値

血糖コントロールの善し悪しを判断するうえで、最も重要な検査です。
HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均の血糖値を反映します。

HbA1cは、貧血などを調べるヘモグロビンという血液中の赤血球に含まれるタンパク質に血液中の糖が結びついたものです。

    

血糖値が高ければ、血液中の糖がヘモグロビンと結びつき、HbA1cは高くなっていきます。
HbA1c検査は、ヘモグロビンのうちHbA1cにかわっているのがどのくらいあるか、その割合を調べる検査です。
HbA1cは一度できるとその赤血球が死ぬまで消滅しません。赤血球の寿命は120日ほどのため、HbA1cはその平均年齢ともいえる、過去1~2ヶ月間の血糖コントロール状態を反映したものとなります。
検査前の数日間だけ、食事療法を一生懸命やる人がいますが、HbA1cは平均の血糖値をみているため、普段やっていないことが一目瞭然です。

    

■HbA1cのコントロール目標 7.0%未満を目標に
合併症を予防するためのコントロール目標は以下のように示されています。
ただし、受けている治療や年齢、合併症の状況によって目標の値は異なりますので、担当の医師にご自分の目標の値を確認しましょう。

2.血糖検査

血糖値は、検査をした時点の血糖値です。HbA1cが、過去1~2ヶ月の血糖コントロールの状態を反映するのに対し、血糖値は検査した瞬間値といえます。血糖値は食事や運動、ストレスなどによって変動します。

血糖値は、病院に行かなくても、簡易型の測定器を使えば自分で測定することはできます。
インスリン注射などを自己注射している方は、測定器と測定に使用する試験紙(センサー)、穿刺針が、医師の指示した測定回数によって、これらが保険で給付されます。

また、最近は二の腕の内側に500円玉程度のセンサーをつけ、専用の読取機(リーダー)やスマートフォンでセンサーをスキャンし、血糖値とこれまでの血糖の変動をグラフでみることができる、持続血糖モニターによる測定もできるようになりました。持続血糖モニターを保険適応で使用できる患者さんは決められていますので、ご興味のある方は担当の医師にお尋ねください。

3.まとめ

    

より良い血糖コントロールを維持し、合併症を発症、進行させないためにも、検査の意味と目標値を理解し、定期的な検査を欠かさないようにしてください。

    

(参考文献:
糖尿病治療ガイド 2022-2023 日本糖尿病学会 編・著
糖尿病ネットワーク 糖尿病セミナー 19.糖尿病の検査 https://dm-net.co.jp/seminar/19/)