糖尿病の発症危険要因に、運動不足、肥満によるインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪いこと)などが挙げられます。糖尿病を予防・改善するためには、運動を行うことは大切です。運動を行うことで、筋肉の中のグリコーゲンが減少し、血液の中からブドウ糖を消費することで血糖値を下げます。さらに運動を続けることで、血糖値を下げるだけでなく、肥満の解消、動脈硬化の予防につながり、血圧を下げる効果があります。
無理のない範囲で、毎日の生活に運動を取り入れましょう。
糖尿病予備軍の方、糖尿病の方、合併症を伴う糖尿病の方では、運動の内容を異なります。糖尿病予備軍の方は、積極的に運動を行うことで、糖尿病を予防できます。
糖尿病の方は、運動効果が得られやすい強度・実施時間対応・頻度を求めることで、HbA1cを下げ、血圧を下げる効果があります。
合併症を伴う糖尿病の方は、積極的な運動を行うことで合併症などの症状を悪化させる恐れがあります。主治医に相談しましょう。
日常生活の中で、楽に運動ができる機会を見つけることが大切です。
具体例を下記に挙げました。可能な範囲でチャレンジしましょう。
インスリンの効果を高め、血糖値を下げる運動には、大きく3種類の運動があります。
それぞれの運動の効果特徴を知り、行いましょう。
運動する前の準備運動、運動した後の整理運動として、柔軟体操をしましょう。
柔軟体操は、筋肉を伸張する運動です。息を止めず、ゆっくりと反動をつけず、無理なく10秒間、筋肉を伸張します。伸張する強さは痛みがなく、伸ばされている感覚がわかる程度です。また自分に合った、また必要と思われる体操を行いましょう。
1セット5回(左右、多方向の場合はそれぞれ3回)で、1日3セットを行いましょう。
■ 首の筋肉の柔軟運動
両手を膝の上に置いた椅子座位姿勢で運動を開始します。ゆっくりと息を吐きながら、首を後屈・前屈・左側屈・右側屈の順で、それぞれ10秒間、筋肉を伸ばします。
■ 肩・腕の筋肉の柔軟体操
両手を組み、手のひらが外側に向くようにして、肘を前方に伸ばします。その状態でお腹を凹ませ、息をゆっくりと吐き、腕・肩の筋肉を10秒間、伸ばします。
■ 背中・お尻・脚裏の筋肉の柔軟体操
椅子の前に立ち、両手を椅子座面につけた姿勢で運動を開始します。首・からだを前屈し、かかとに体重を移し、背中・お尻・脚裏の筋肉を10秒間、伸ばします。
■ もも裏・ふくらはぎの筋肉の柔軟体操
両足を開いた立位姿勢で運動を開始します。右片足に体重を移し、左片足を外側に向けます。右膝を曲げ、左足の内もも・もも裏・ふくらはぎの筋肉を10秒間、伸ばします。脚を変え、反対側も行います。
筋肉の弱化がしやすい肩関節・股関節周囲の筋肉を鍛えましょう。
筋肉トレーニングは、筋肉を強化する運動です。息を止めず、ゆっくりと反動をつけず、無理なく運動を繰り返します。ダンベルの重さは、自力で容易に10回以上繰り返せる重さで行いましょう。1セット10回、1日3セットを行いましょう。
■ 腕の筋力強化 1
椅子座位姿勢で運動を開始します。両手にペットボトル(500mL)を持ち、腕を前に60度持ち上げます。この位置まで上下運動を繰り返し動かします。可能な方は腕を90度以上持ち上げて行ってください。
■ 腕の筋肉強化 2
椅子座位姿勢で運動を開始します。両手にペットボトル(500mL)を持ち、腕を横に60度持ち上げます。この位置まで上下運動を繰り返し動かします。可能な方は90度以上持ち上げて行ってください。
■ 股関節筋群の筋肉強化
背筋を伸ばし、胸を張った立位姿勢で運動を開始します。軽く腕を振り、左右脚を軽く持ち上げ、足踏み運動をします。余裕がある方は、腕をしっかり前後に振り、ももを腰の位置まで持ち上げて行ってください。
■ 膝関節筋群の筋力強化
肩幅に脚を広げ、両手を横に拡げた立位姿勢で運動を開始します。かかとが床から離れないよう、ゆっくりと膝関節の屈伸運動をします。膝を曲げる時は、おしりを後ろに引いて両手でバランスを取り行ってください。
立位が不安定な方は、椅子につかまり行います。