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東京臨海病院 顧問 山本保博の救急災害対応コラム
救急車の呼び方やAEDの使用法、地震などへの対応をコラムでご紹介しています。
第2回 一見派手な外傷に目を奪われるな

救急医療の現場において、鈍的外傷で搬送されてくる患者は多い、初療室でこれらの患者をまず診るのは、若い医師であり、看護師であろう。

交通事故や転落による鈍的外傷では、四肢や顔面、頭部からの出血を伴うことが多い、顔面や手足の創傷は見た目が派手である。特に顔面の擦過傷や挫創はむごたらしく、一刻も早くこの処置をしてやりたいと考える。ところがこれはDo Notである。

一見派手にみえる外傷で救命を要する損傷は少ないからである。

注意深く全身を観察し、このショックの原因がどこに潜んでいるかを調べることが必須である。 Head to Toe emergent evaluationといい、全身を裸にし、バイタルサインに注意するのはもちろんのこと、体幹の打撲痕、擦過傷、皮下出血、皮下気腫をすばやく観察・評価する。これと同時に、呼吸のパターン、左石胸郭の動き、腹部所見、腹部膨隆などに注意し、集中治療に邁進するのが救命への近道である。

意識障害のある頭部外傷患者には全身的な原因観察の姿勢で

頭部は、あらゆる事故(挫創,打撲,銃創,刺創など)において損傷を受けやすいところです。頭部への外的刺激は、直接死につながる危険性をはらんでいます。それは、生命を維持する鍵ともいうべき脳が存在するからであり、極めて重症な損傷をもたらすことが多くみられます。しかし、その反面,外傷を受けやすいということから、みた目より損傷の軽いケースも少なくありません。

頭皮は血管に富んでいるために出血しやすいことから、出血量も多くなり重篤にとられがちですが、頭皮が破れて骨が露出している程度なら、生命への影響は少ないといえます。

意識障害でバイタルサインに異常があるときは、頭蓋内疾患を原因とするものが多く、バイタルサインに異常がないときは、頭蓋外に原因のあることが多いと考えられます。

頭部に外傷がある意識障害の患者が運ばれてきたときは、緊急に処置が開始されることになりますが、その原因がどこにあるのかをまず究明し、局所的な管理ではなく、全身的な管理が重要となってきます。