第10回 シックデイについて(糖尿病看護認定看護師 田邊 彩子)
1. シックデイとは
糖尿病の患者さんが治療中に発熱・下痢・嘔吐や食欲不振のため食事ができない時をシックデイといいます。ふだんは血糖コントロールができていても、シックデイでは血糖値が大きく乱れやすくなります。
2. 高血糖になりやすい!
風邪や下痢など病気にかかると、体はストレス状態となります。ストレスホルモンが分泌されると、インスリンの働きを弱めてしまい高血糖を引き起こします。
3. 低血糖になりやすい!
シックデイ時は食欲低下や食事が摂れないことにより、食事量が少なくなることもあります。食べる量が少ないにもかかわらずいつも通りに薬を飲んだり注射をすると、低血糖が起きてしまいます。
4. シックデイになってしまったら(シックデイルール)
- 安静と保湿に努めましょう。
- 水分は水やお茶などで、少なくとも1000ml/日以上は摂りましょう。
- 食欲がなくても、おかゆ・果物・うどん・ジュースなどで、炭水化物を補給しましょう。

- 血糖自己測定を頻回に行いましょう。

- インスリン治療中の患者さんは、自己判断でインスリンを中止しないようにしましょう。
- インスリンや飲み薬は種類や食事量に応じて減量・中止する場合があります。主治医にご相談ください。
- 入院治療が必要なときは、休日でも電話連絡してから受診しましょう。
5. 受診が必要なとき
- 嘔吐、下痢・腹痛、胸が痛い、心臓の鼓動が異常に早い、息苦しいなどの強い自覚症状が続くとき
- 高血糖(350㎎/dl以上)と尿中ケトン体陽性が1日以上続くとき
- 38度以上の発熱が続き、改善傾向がみられないとき

- 脱水症状が激しい、あるいは著しい体重減少がみられるとき
- インスリン注射量や経口血糖降下薬の服用量が、自分で判断できないとき

シックデイは、対応を誤ると急速に病状が悪くなることもあり、特別の注意が必要です。自己判断で注射をやめないこと、測定値や症状などを確認し必要時は早めに受診しましょう。また、普段から主治医とシックデイについて話しておくことも大切です。
(参考文献:糖尿病療養指導ガイドブック 2022 日本糖尿病療養指導師認定機構 編・著糖尿病ネットワーク/糖尿病セミナー 12.病気になった時の対策 シックデイ・ルール https://dm-net.co.jp/seminar/12/)