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第9回 糖尿病の食事【減塩編】(管理栄養士 松本 涼子)

健康的な食事を実践することが、糖尿病食事療法の基本となります。今回は健康的な食事の実践のため「減塩」について確認してみましょう。

    
    

1. 減塩の必要性について

「食塩」は、血糖を直接上昇させることはありません。しかし、塩分の過剰摂取は合併症進行要因の1つになる可能性があります。塩分摂取が多い場合、細小血管症・大血管症のリスクが高くなるため注意が必要です。

2. 適正な塩分量について

高血圧の合併の場合は1日6g未満の塩分摂取量が推奨されていますが、糖尿病の治療では高血圧発症予防も重要な治療目標の1つのため、食事療法でも「塩分摂取量1日6g未満」を目安としましょう。日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、男女別平均は男性10.9g、女性9.3g との統計データーがあります(厚生労働省 令和元年(2019)「国民健康・栄養調査」より)。

    

「塩分摂取量1日6g未満」は目指すべき目標ではありますが、まずは現在の食生活から、減らすことのできる塩分を意識してみましょう。

3. 減塩は日々の食生活での工夫から

日常の食生活で減塩を意識するために、毎日少しずつ実践できることを増やしてみましょう。

① 塩分を多く含む食品を1日の中で複数回重ね食べをしないようにしましょう。

② 調味で減塩の工夫をしましょう

天然ダシの旨味、酸味(酢、レモン汁等)、香味(ショウガ、ニンニク、ネギ等)、辛味(唐辛子、コショウ等)を用いて、塩分を含む調味料の使用量を減らしましょう。また揚げ物、餃子、寿司等に「かけ調味料」をする場合は、少量の調味料を小皿に入れての「付け食べ」に変えてみましょう。

③ 野菜・海藻類でカリウム摂取を意識しましょう

カリウムは、体内でナトリウム(塩分)の排出を促す効果があります。
野菜、海藻類はカリウム摂取には利用しやすい食品です。漬物、佃煮等に加工された塩蔵品を避け、素材の薄味調理を心がけて、野菜、海藻類を食生活に取り入れましょう。

    
    
    

(参考文献:糖尿病治療ガイド 2022-2023 日本糖尿病学会 編・著)