臨床検査科Clinical Examinations

臨床検査科

診療内容・特徴

臨床検査は、患者さんから採取した血液、尿など検体の分析を行う検体検査と、心電図、肺機能、超音波など、体から直接測定して得た情報により、心臓や各部位の機能を調べる生理検査の二つに大別されます。これらのデータは医師に提供され、病気の診断や治療に役立っています。臨床検査科では、臨床支援という形からではありますが、患者さんへのより良い医療の手助けになれるよう、迅速で正確な情報の提供を心がけています。

下記7部署にて、検査業務を行っています。

業務紹介

生理(機能)検査室

生理(機能)検査室では、種々の臨床検査機器を用いて臨床診断に必要な情報を臨床検査技師が患者さんに直接触れ検査する生体検査部門です。生理検査室で行われる検査は簡単な検査ですが得られる情報はとても多い検査です。

日々、知識・技術の向上と習得をこころがけ正確な検査を臨床(診断)に提供できるように取り組んでいます。心電図検査などのような短時間で終わる検査は、随時おこなっていますが生理検査室の検査は緊急を要する以外は予約制で検査を行っています。

生理検査 受付10(2階)
生理検査 受付10(2階)
生理検査 待合室
生理検査 待合室

心電図検査

検査内容
心臓は電気的興奮が心筋に伝導することにより規則的に収縮します。心電図は、その微弱な電気的興奮の変化を心電図波形として記録する検査です。心電図により、不整脈・虚血性心疾患・心肥大などの心臓の様々な病態を把握できます。
検査所要時間
着替えの時間を含めて5分程度。
注意事項など
  • 検査の痛みはありません。
  • ベッドに仰向けに寝ていただき両手首、両足首と胸に電極を装着します。
  • 検査中はリラックスして体を動かさず安静にしていただきます。
心電図検査

負荷心電図(マスター心電図)検査

検査内容
体を動かしたときに胸痛症状が出現する労作性狭心症などを心電図で調べます。はじめに安静時の心電図を記録し、次に凸型の検査専用の2段の階段を昇降運動して心拍数を上げ再度心電図記録し、運動(負荷)前後の心電図変化を判定する検査です。
検査所要時間
着替えの時間を含めて15~20分程度。
注意事項など
  • 胸の症状など気になることがあれば検査前に必ず検査担当技師にお伝えください。
  • 階段の昇降運動中に胸痛症状があれば中止しますので、検査担当技師にお伝えください。
  • 裸足(靴下、ストッキングなど脱ぐ)で検査します。
負荷心電図(マスター心電図)検査

ホルター心電図(24時間心電図検査)

検査内容
携帯型心電計を装着し、日常生活の心電図を24時間記録できる検査です。不整脈の有無や頻度、薬の治療効果、自覚症状と心電図変化の関係を調べるのに適した検査です。
検査所要時間
1日目(装着と説明)20分程度、2日目(装置取り外し)5~10分程度です。
注意事項など
  • 入浴やシャワーなど禁止です。
  • 携帯型心電計装着(1日目)と装置取り外し(2日目)のため二日連続して病院には来院していただきます。
  • 仕事や学校での活動、睡眠中も記録し続けます。
ホルター心電図(24時間心電図検査)

心臓超音波検査(心エコー図検査)

心臓超音波検査
GE社製 Vivid E9
心臓超音波検査
PHILIPS社製 iE33
超音波検査
超音波とは、人が聞くことのできない高い周波数(2~15メガヘルツ)のことです。釣り(漁船)では魚群探知機などに応用され、自然界ではコウモリやイルカなどが餌を捕るときや移動するときに超音波を利用している。検査では、超音波を体内に発信させて、体内の各組織(心臓、血管など)から反射してくる超音波を画像として映し出す画像診断検査です。この検査は検査部位(検査対象臓器位置)にエコーゼリー(医療用)をぬって行いますが痛みや副作用などはありませんのでご安心ください。
当院では心エコー専用ベッド(ランダルコーポレーション社製)にて検査を施行します。
検査内容
心エコ-図検査は、心臓の形態や大きさ、壁の動き、弁の状態、心機能評価、異常構造物の有無を観察します。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などの先天性心疾患、心筋症の診断することができます。
検査所要時間
着替えの時間を含めて15~30分程度。検査時間は多少時間は変わりますのでご理解ご協力ください。
注意事項など
  • 胸部を露出してベッドに仰向けに寝てもらい聴診してから、基本的には左側臥位になっていただき左腕を頭の方へ上げてもらい心電図モニタ電極を胸部に貼ります。
  • 胸部を出しやすいように前開きの服装が好ましく、検査時は上半身裸もしくは薄手のシャツ程度になっていただきます。

呼吸機能検査

検査内容
呼吸機能検査により、呼吸器疾患(喘息、肺気腫)の診断や手術に耐えられるかどうかの評価などを調べます。
検査所要時間
検査項目数によって時間が異なりますが、10~40分程度となります。
注意事項など
  • 検査時はマウスピースを口でくわえ、鼻をクリップでつまみ、口だけで呼吸を行います。
  • 調べたい検査内容によって、呼吸の方法が異なりますが、検査担当技師が説明し呼吸の合図を行うため安心して検査を受けて下さい。
  • 患者さんの精一杯の努力が必要です。
呼吸機能検査
CHESTAC 8900

簡易睡眠時無呼吸検査

検査内容
睡眠を妨げる要因のひとつとして注目されている病気に睡眠時無呼吸症候群があります。文字どおり眠っているときに無呼吸状態になる病気でSAS(Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれています。
日中の過度の眠気や睡眠中に大きないびきを指摘された患者さんが自宅に簡易検査キットを持ち帰りスクリーニング検査を行ないます。
検査所要時間
1日目(取り扱い説明)20分程度、2日目(貸出装置の返却)5分程度です。
注意事項など
  • 装着方法は担当技師が説明します。
  • 貸出装置返却時に、装置(備品含む)の紛失・破損等を担当技師が確認させていただきます。
簡易睡眠時無呼吸検査

ABI(足関節上腕血圧比)

検査内容
ABI(足関節上腕血圧比)は動脈の詰まりの程度と血管の硬さの程度を推定する検査です。
検査所要時間
着替えの時間を含めて15~20分程度。
注意事項など
  • ベッドに仰向けに寝ていただき両手首と胸に電極を装着します。両手首と両足首に血圧測定用のカフを巻き上肢と下肢の血圧を測定してABIを測定します。
  • 血圧の高い方は圧が強くかかるため少し圧迫感があります。
  • 検査中はリラックスして、喋らず、体を動かさず安静にしていただきます。
ABI(足関節上腕血圧比)

SPP(皮膚灌流圧)測定

検査内容
SPP(皮膚灌流圧)測定は、難治性潰瘍の治癒予測、四肢切断レベルの判定、糖尿病性足病変や石灰化症例の重症度評価を判定する検査です。
検査所要時間
測定箇所によって時間が異なりますが30~60分程度となります。
注意事項など
  • 検査中はリラックスして、喋らず、体を動かさず安静にしていただきます。
  • レーザセンサーとカフを装着するので多少の圧迫感があります。
SPP(皮膚灌流圧)測定

脳波検査

検査内容
脳波検査は、大脳が常に出している微弱な電気信号を増幅し波形として記録する検査です。てんかんの診断や治療効果、脳障害(脳血管障害、頭部外傷、意識障害、肝性昏睡など)を評価する検査です。
検査所要時間
電極の装着や取り外しも含めて60分程度。
注意事項など
  • 頭(頭皮上)に小さい皿状の電極をつけて脳の活動電位を記録し評価する検査です。電極はペーストといわれるノリのようなもので装着します。
  • 検査中は体を動かさないようにしていただくので、乳幼児では睡眠薬で眠らせてから検査を行なうこともあります。
脳波検査

ABR(聴性脳幹反応)検査

検査内容
ABR検査とは、乳幼児や高齢者など音が聞こえたかどうかを返事ができない人に行なう聴力検査のことです。また、感音性難聴であることがわかったときに、障害の場所を明らかにするためにも行なわれます。
その他、手術時に生じる脳幹の機能異常を調べたりもします。異常の場合に疑われる病気は、脳腫瘍、聴神経腫瘍、脳血管障害、先天性の聴力障害、糖尿病などがあります。
検査所要時間
電極の装着や取り外しも含めて40~60分程度。
注意事項など
  • ベッドに横になり、左右の耳たぶと頭部に脳波用の皿電極を取りつけます。患者さんにはヘッドホンをしていただき、ヘッドホンから音が聞こえると脳が反応して脳波に変化が生じ、その波形をコンピューター処理して解析します。
  • 検査中は体を動かさないようにしていただくので、乳幼児では睡眠薬で眠らせてから検査を行なうこともあります。
ABR(聴性脳幹反応)検査

末梢神経伝導速度検査

検査内容
腕や足の末梢神経を電気刺激して、刺激から反応の時間を測定して神経の刺激伝導(神経伝導速度)を評価する検査です。神経麻痺(手根管症候群、肘部管症候群など)の診断、頚椎症と末梢神経障害との鑑別、糖尿病による神経障害の検査として行われます。
検査所要時間
測定箇所によって時間が異なりますが30~60分程度となります。
注意事項など
  • 電気刺激をするので多少の違和感や痛みを伴う場合があります。
末梢神経伝導速度検査

針筋電図検査

検査内容
筋肉の状態を調べる検査です。筋肉に針を刺して筋肉の反応をみます。 ギランバレー症候群や多発性筋炎などの筋肉の病気の診断や評価に役立ちます。筋肉や運動神経に障害があると筋肉に変性が起こるため、電極になっている針を筋肉に刺すことで、その変性の有無や障害の程度等を確認できます。
検査所要時間
測定箇所によって時間が異なりますが20~30分程度となります。
注意事項など
  • 筋肉に針を刺すため痛みを伴います。
  • 神経内科医師が検査を行います。
針筋電図検査

尿素呼気試験

検査内容
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、ウレアーゼという酵素を持ち胃の中にある尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解することが知られています。尿素呼気試験では尿素を含む試薬(錠剤)をお飲みいただき服用前後の二酸化炭素の量を測定し、その測定結果から感染の有無を判定する検査です。
検査所要時間
椅子に座ったまま、25~30分程度。
注意事項など
  • 10秒程度の息止めをしていただきます。(呼気採取のため)
  • 胃の中に食物残渣があると検査に影響しますので検査前のお食事はできません。水(お茶)は飲んでいただいて構いません。
針筋電図検査
尿素呼気試験法の原理

耳鼻科検査室

耳鼻科検査は聴覚系検査、平衡検査、感覚器検査に大別されます。

耳鼻咽喉科外来診療ブース内にある聴力検査室、処置室兼用検査室で、聴覚・感覚器系の検査を実施しています。

聴力
標準純音聴力検査(難聴の程度)
聴覚精密検査
チンパノメトリー(鼓膜の動き)、耳管機能検査(耳つまり)、耳鳴検査(大きさ・苦痛度)、 OAE検査(内耳のきこえ)、耳小骨筋反射(顔面神経の障害、耳小骨の動き)、閾値上検査(音がひびく)新生児聴力検査AABR・DPOAE(きこえ検査)、自記オージオメトリー、ABR(難聴の程度、障害部位)、鼓膜閉鎖試験(手術適応の有無)、グリセオール負荷試験(メニエール病)
補聴器関連検査
語音聴力検査(言葉の聞き取り)、MCL・UCL(ききとりやすい大きさ・不快な大きさ)
音場検査(補聴器効果)
感覚器検査
鼻腔通気度検査(鼻のとおり)、電気味覚検査(味)、嗅覚検査アリナミンテスト(におい)、ガムテスト(口渇)
睡眠時無呼吸関連検査
アプノモニタ(睡眠時無呼吸簡易検査)、Cpap(治療データ解析)
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生理検査フロワー内の平衡機能室では、平衡機能検査を実施しています。

平衡機能検査(めまい)
遮眼書字検査(体の偏り)
直立検査、足踏み検査、歩行検査(体の偏り)
重心動揺パワーベクトル検査(体のゆれ)
電気眼振検査(目の動き)
注視・非注視・頭位変換眼振検査(異常な目の動き)
追跡眼球運動・視運動性眼振検査・VS Test(脳の障害)
温度眼振検査・エアーカロリック検査(内耳障害)
シェロング検査(自律神経)
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病理検査室

病理検査は、取り扱う検体によって組織診と細胞診に大別されます。

組織診
針や鉗子で採取した微小組織片(生検)および手術にて摘出された臓器で疾病の原因を特定します。また、良性・悪性の診断だけではなく、病変の広がり・病期・予後・治療効果の判定などについても役立っています。
当院では、手術中の限られた時間内で検査する術中迅速病理診断も実施しています。
術中迅速病理診断では、平均20分程度で良性・悪性の診断や病変の広がりの報告を行っています。
検査技師は病理医が迅速かつ正確な病理診断ができるように、H・E染色や免疫染色を含む特殊染色標本を作製し病理診断業務をサポートしています。
自動染色機
自動染色機
自動免疫染色機
自動免疫染色機
自動封入機
自動封入機
術中迅速病理診断
術中迅速病理診断
細胞診
対象となる材料は様々です。提出された検体に対しておもに細胞の良・悪性判定を行っています。
細胞診は、まず細胞検査士が鏡検します。悪性の診断は、病理医と同時に鏡検し報告しています。
適宜、ダブルチェックやトリプルチェックを行い細胞判定の精度向上に努力しています。
鏡検室
鏡検室
軽度異形成(コイロサイトーシス)
軽度異形成(コイロサイトーシス)
扁平上皮癌細胞
扁平上皮癌細胞
腹水中の腺癌細胞
腹水中の腺癌細胞
病理解剖
ご遺族の承諾のもとに、病死された患者様の全身臓器を観察し、病気の状態を調べます。
臨床検査技師は、解剖の補助を担当します。

輸血検査室

輸血は、病気や手術等で血液が不足した場合に行う療法です。血液型や不規則抗体スクリーニング検査に自動検査機器(検査ミス・入力ミスを無くすため)の導入を行い24時間対応しています。また安全な輸血の為に交差試験、不規則抗体同定等の検査もしています。コンピューターによる血液製剤管理とリストバンドチェックによる患者確認を行っています。感染の問題を回避するため、他人の血液ではなく、自分の血液を使用する自己血輸血を推進しています。

血液型自動検査機器
血液型自動検査機器
製剤保管庫
製剤保管庫
自己血採血
自己血採血

中央採血室

当院は、①採血管準備システムと②バーコード認証システムを導入し、患者さんへの誤認採血防止に取り組んでおります。

  1. ①採血管準備システム:採血指示書と検体ラベルが貼られた採血管が自動出力されます。
  2. ②バーコード認証システム:患者さんの受付票と採血指示書をバーコード認証にて取り違え採血を防止します。

※ ご本人確認のため、患者さんから氏名・生年月日を直接お聞きしています。

採血は、日本臨床検査標準協議会が発行する「 標準採血法ガイドライン 」に遵守しています。

神経損傷のリスクを少なくするために全ての採血で翼状針を使用しています。

感染防止対策としてマスクの着用と患者さん毎に手袋の交換を実施しています。

採血待ち時間短縮と診療予約時間に検査結果を提供するために、平日は8時から採血を開始しています。ここで採血・採尿した検体は検体検査室に送られ種々の検査を実施します。
※ 診療予約時間の1時間前に採血室にお越し下さい。

採血管準備システム
採血管準備システム
患者のプライバシーを考慮した採血台
患者のプライバシーを考慮した採血台

検体検査室

検体検査室では、患者さんの症状をさらに詳しく調べるため患者さんより採取した血液、尿、その他の体液や組織などで検査を行い病気の有無、場所、程度など患者さんの身体の状態を検査データとして報告しています。

また、患者さんの病状把握、経過観察や治療効果の判定に役立つ情報を提供しています。

精密検査機器が配置されている

精密検査機器が配置されている
精密検査機器が配置されている
精密検査機器が配置されている

健康医学センター

病院併設の健康医学センター内検査で検査業務を行っています。生理検査(心電図検査・肺機能検査・聴力検査・眼底検査・眼圧検査)はセンター内の各検査室で、検体検査・病理細胞診検査・血液型検査は病院内の各検査室で実施しています。

心電図検査室
心電図検査室
肺機能検査室
肺機能検査室
聴力検査室
聴力検査室
眼底検査・眼圧検査
眼底検査・眼圧検査

資格

資格名人数
超音波検査士6
血管診療技師3
細胞検査士3
国際細胞検査士2
緊急臨床検査士2
聴覚検査士3
補聴器検査士1
認定輸血検査技師1
二級/甲類臨床検査士・循環生理学8
・病理学2
・血清学2
第一種衛生管理1