心臓血管外科Cardiovascular surgery

心臓血管外科

診療内容・特徴

心臓血管外科は、体全体に血液を送るポンプの働きをしている心臓と、その心臓から送り出された血液を全身に運ぶ役割をもつ血管の病気を専門とする科です。当院最大の特徴は心臓救急の受け入れ体制が整っていることです。心臓病は緊急に処置をしないと、急激に状態が悪化する場合があります。そこで当科は循環器内科と協力し、365日、救急患者さんを受け入れています。(東京都CCUネットワークに所属しています。)

2019年4月より日本大学心臓血管外科と連携を強化し、民間病院でありながら大学病院と同じ質の手術治療を提供できるようになりました。

日本大学心臓血管外科

ただ、全ての治療を当院で行えるわけではありませんので、症例によっては日本大学板橋病院、日本大学病院等、信頼できる医療機関にご紹介させていだくことがあります。

我々が治療している病気には以下のものがあります。

心臓の病気
①心筋梗塞、狭心症
心臓の血管が詰まり心臓が動かなくなる病気で、多くは胸の痛み、違和感などで発症します。これは動脈硬化によって血管が狭くなることが原因ですが、糖尿病患者、透析患者、喫煙患者さんはリスクが高いと考えられます。
外科的治療としては冠動脈バイパス手術(オフポンプ・オンポンプ)を行いますが、内胸動脈、胃大網動脈などの術後開存率が高いグラフトを使用して手術を行っています。また、手術適応は循環器内科との合同カンファレンスで決定するため無理に手術を行うということはありません。
②心臓弁膜症
心臓のポンプ機能を維持するために必要な逆流防止弁が上手く動かなくなる病気です。「このごろ階段を登ると苦しくなってしまう、どきどきしてしまう」などの症状で発症します。この病気には、弁形成術(最近多くなってきた自分自身の弁を温存してその形を整える手術)や弁置換術(ご高齢の方には生体弁、若い方には機械弁を使用)を行います。
その他にも心臓腫瘍など様々な心疾患の治療を行っています。ご相談ください。
血管の病気
血管には心臓から血液を送り出す動脈、心臓に血液を送りかえす静脈があり、その両方の疾患を手術しています。まず、動脈の病気では、
①大動脈瘤(胸部、腹部)
動脈が瘤のようにふくれ、破裂の危険性がある病気で無症状のことが多いのですが、健康診断や他の病気を精査するために撮影されたCT検査などで偶然発見されることが多い病気です。大きいものですと、破裂する可能性が高く、放置すると非常に危険です。当院ではオープンステント手術、ステントグラフト内挿術(TEVAR、EVAR)、瘤切除人工血管置換術で治療します。最近はカテーテルによって行えるステント内挿術が増加しています。
②閉塞性動脈硬化症
動脈硬化により動脈に狭いところができ、「歩き始めてしばらくすると、ふくらはぎが痛くなり歩けない」などの症状で発症します。カテーテルによる血管拡張術、ステント、手術では、狭いところの前後に血流の迂回路をつくるバイパス作成術で治療します。
③急性動脈閉塞症
血液の固まりなどが手足の血管を詰まらせてしまう病気のため、患者さんは急に手足が蒼白になり、痛みを訴えます。心房細動など、不整脈をお持ちの患者さんに多く、これは心臓内に出来た血栓が原因です。カテーテルによる血栓除去術を行います。
④急性大動脈解離
胸や腹の動脈壁に裂け目が入り、それが急激に進行する病気です。激烈な胸痛,背部痛などで発症します。この亀裂が心臓の方向に進んで行くと危険なため緊急手術の対象となります。
静脈の病気
①下肢静脈瘤
静脈内にある非常に薄い逆流防止弁が壊れ、血流が逆流することにより静脈が瘤のように拡大する病気です。手術で治療を行いますが、今年度より新たにレーザーを使用した低侵襲治療を導入します。このレーザー治療は保険診療適用のレーザーなので、安心して治療を受けていただけます。
②深部静脈血栓症
比較的太い静脈内に血栓ができることにより血栓が静脈を塞いでしまう病気です。血栓が肺に流れ、いわゆるエコノミークラス症候群を発症することもあるため、カテーテルで治療を行います。
術後の社会復帰に対する当科の取り組み
いくら手術が上手く行ったからといって、寝たきりになってしまってはしかたありません。当科では患者さんが早期に社会復帰していただけるようリハビリテーションの体制を整えています。さらに、闘病、社会復帰に関わる諸問題には、医療福祉相談室のソーシャルワーカーが皆さまのサポートをいたしております。
施設認定
  • 血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会認定下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術実施施設
  • 日本ステントグラフト実施基準管理委員会認定腹部大動脈瘤ステントグラフト実施施設
  • 日本ステントグラフト実施基準管理委員会認定胸部大動脈瘤ステントグラフト実施施設

診療対象疾患

  • 心筋梗塞、狭心症、急性冠症候群などの冠動脈疾患
  • 大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症などの大動脈弁疾患
  • 僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症などの房室弁膜症
  • 心房中隔欠損症、心室中隔欠損などの先天性心疾患
  • 急性大動脈解離、解離性大動脈瘤などの動脈解離
  • 胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤などの動脈瘤
  • 閉塞性動脈硬化症、急性動脈閉塞、慢性動脈閉塞などの閉塞性動脈疾患
  • 深部静脈血栓症、静脈瘤などの静脈疾患
  • 自然気胸などの気腫性肺疾患

診療実績

令和3年度 外来/入院統計

令和3年度手術統計

年間手術件数 122例
心臓手術(人工心肺症例+OPCAB+TEVAR) 31例(重複なし)
血管手術 91例

冠動脈バイパス 12例
弁膜症手術 12例
胸部大動脈関連手術
(内訳)人工血管置換術       4例
    ステント内挿術(TEVAR)  1例
5例
その他心臓手術 2例
腹部大動脈瘤関連手術
(内訳)人工血管置換術      4例
    ステント内挿術(EVAR) 1例
5例
閉塞性動脈硬化症に対する手術、カテーテル
(内訳)バイパス手術等        4例
    カテーテルによる血管内治療  29例
33例
急性動脈閉塞に対する治療 4例
深部静脈血栓症に対する治療
(下大静脈フィルター留置、血栓溶解術など)
4例
下肢静脈瘤に対する治療
(内訳)レーザー手術               0例
    ストリッピングなど            5例
5例
その他の血管手術(末梢動脈の動脈瘤など) 1例
中心静脈ポート植え込み術 40例

スタッフ紹介

部長

古川ふるかわ   博史ひろし
出身医局
資格 日本外科学会 専門医・指導医
日本胸部外科学会認定医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 専門医・修練指導者
日本脈管学会 専門医
日本血管外科学会認定血管内治療医
心臓リハビリテーション 指導士
心臓血管外科修練指導者
医学博士
専門・研究分野

医員(非常勤)

山本やまもと   知則とものり
出身医局 日本大学医学部外科学講座外科2部門(胸部外科)元助教授
資格 心臓血管外科専門医
心臓血管外科修練指導者
外科専門医
日本冠動脈外科学会所属
医学博士
専門・研究分野 冠動脈外科/心臓弁膜症の外科
胸部大血管の外科/先天性心疾患の外科

外来診療スケジュール表

※土曜診療は、当面の間休診となります。

※横スクロールができます。
 
午前 古川 博史 山本 知則
(1・2・3週)
  山本 知則   古川 博史
(2・4週)
午後   山本 知則   山本 知則
(5週)