放射線科Radiology

放射線科

診療内容・特徴

放射線科では、骨密度測定検査、一般X線撮影検査、マンモグラフィの他に、消化管造影検査(胃・大腸透視等)、血管造影検査、CT(コンピューターX線断層撮影)、MRI(核磁気共鳴撮影)、核医学検査、超音波検査(腹部・乳房、甲状腺などの表在臓器)などの撮影・検査のみならず、血管造影検査やCTを用いたIVR(介在的放射線治療)や放射線治療など幅広く行っております。

電子カルテシステムと連携する形で、放射線情報システムを採用し、予約・検査の一元管理と運用を行っています。その正確かつ迅速なオーダー伝達により、撮影の待ち時間の短縮に繋がっています。また、画像サーバーシステムを用いフィルムレス環境で運用しています。

近年の医療機器の進歩はめざましいものがあります。これら高性能の装置を最大限生かすように日々努力しています。また、医療事故に関しても各部署で安全対策マニュアルを作成し安全な検査を目指しております。

患者さんが快適に質の高い検査が受けられるよう心配りをしています。

  • 常勤放射線科専門医師による読影・検査・治療(診療科紹介:「放射線科」をご覧ください。)
  • 当放射線科の画像情報は、すべてデジタル画像でサーバー管理をしています。
  • 女性技師のみによる乳腺X線撮影(マンモグラフィ)を行っています。検診マンモグラフィ撮影技術認定技師を中心に担当しています。
  • 超音波検査担当技師は、超音波検査士の認定資格を取得、もしくは同レベルの技師が担当しています。
放射線科構成
診療放射線技師:25名

資格

(2024年8月現在)

資格名人数
国家資格:第1種放射線科取扱主任者3
認定資格:医療情報技師1
認定資格:放射線管理士2
認定資格:放射線治療品質管理士1
認定資格:放射線治療専門放射線技師1
認定資格:核医学専門技術者1
認定資格:MR専門技術者1
認定資格:X線CT認定技師3
認定資格:画像等手術支援認定診療放射線技師2
認定資格:肺がんCT検診認定技師1
認定資格:胃がん検診専門技師1
認定資格:検診マンモグラフィ撮影技術認定技師6
認定資格:乳がん検診超音波検査実施技師1
認定資格:超音波検査士6
認定資格:骨粗鬆症マネージャー1
認定資格:γ線透過写真撮影作業者主任者1
認定資格:X線作業主任者1

放射線業務紹介

骨密度測定検査のご案内

■骨密度測定装置(GE社製 PRODIGY Fuga-C)
骨粗しょう症の予防や治療の判定には、骨密度測定を定期的に行うことが有効とされています。
骨粗しょう症とは、骨が弱くなり、骨折の危険が高まる骨格の病気です。骨粗しょう症全体の約90%を占め、一般的に広く認識されている「原発性骨粗しょう症」に関しては、加齢ならびにエストロゲン欠乏のために、とりわけ閉経後の女性が発症しやすいことが知られています。その他にも甲状腺などの内分泌疾患、消化管手術後の栄養吸収不良、糖尿病、生活習慣病、先天性疾患などさまざまな原因で骨密度が減少する場合があります。
しかしながら骨密度が減少しても、ほとんど自覚症状はありません。それがもとで骨折して痛みを感じたり、背中が曲がったり、寝たきりになってから、初めて骨粗しょう症と診断される場合もあります。

このような状況を回避するためにも、早い段階でご自身の骨密度を測定して、医師の診察を受けることが重要です。
当院に導入された骨密度測定装置は、DXA(デキサ)法と呼ばれるエネルギーの低い2種類のエックス線(胸部エックス線撮影より少ない被ばく量)を使って測定、検査時間は約10分で痛みはありません。一般的に腰の骨(腰椎)や脚の付け根(大腿骨近部)を正確に計測して、結果を数値やグラフで表示します。
DXA(デキサ)法は、骨密度測定において国際的に最も信頼度が高い検査方法と言われています。検査を希望される方は、担当医師にお気軽にご相談ください。


一般撮影

■DHF-155H4:富士フイルムヘルスケア、UD150L-40:島津製作所、UD150B40:島津製作所
一般撮影(いわゆるレントゲン写真)は、X線を使用する検査としては最も古くから幅広く行われている検査法です。
X線を人体に照射をして透過してきたX線の量の違いを画像として表示します。空気などX線が透過しやすい部分は黒くなり、骨などの固くX線を透過しにくい部分は白く表示されます。
短時間で多くの情報が得られるので様々な怪我や病気の初期診断において欠かすことのできない検査です。検査対象範囲は広く、胸部や腹部の状態、全身の骨、関節の状態や骨折の有無等を見たいときに行われます。
当院では開院時よりモニター診断を行っているためフィルムの代わりにFPD(フラットパネルディテクター)を使用しています。FPDにより撮影後の画像を読み取る時間が短縮され、以前より被ばくが少なくより鮮明な高画質な画像が得られるようになりました。
各科の各種様々なオーダーに対し、患者さんの状態に合わせて可能な限り診断に適した撮影ができるように心がけています。
更衣に関して、撮影部位によっては診断に支障をきたす恐れのあるものは可能な限り外して撮影させていただきます。

X線透視撮影

■Ultimaxi:キヤノンメディカルシステムズ
当院では2020年12月に最新型のX線TV装置を導入しました。これにより画質が格段に向上し、精度の高い消化管(胃・大腸)造影検査が行えるようになりました。
更に気管支鏡検査や内視鏡的胆管膵管造影検査(ERCP)、消化器、泌尿器、整形領域などの処置も従来 より安全かつ効率的に行えることで、検査時間の短縮、放射線被ばくの軽減(旧装置の最大65%減!)も期待できます。
また車椅子やストレッチャーから装置への体位移動がよりスムーズに行うことが可能で、患者さんの負担も軽減されました。

胃造影検査(胃癌)
胃造影検査(胃癌)
気管支鏡(肺癌)
気管支鏡(肺癌)
内視鏡的胆管膵管造影(総胆管結石)
内視鏡的胆管膵管造影(総胆管結石)

血管撮影(アンギオ)検査

■INFX-8000C/N1:キヤノンメディカルシステムズ、」INFX-8000C/N9・Aquilion/LB:キヤノンメディカルシステムズ
アンギオはカテーテルを使用し、X線画像を見ながら目的血管へ先端を送り、造影剤を使い撮影をする検査です。近年はこの検査技術を応用し、外科的手術に比べ苦痛の少ない治療もおこなえます。
当院でも血栓を溶解する治療、逆にコイル等を使用して塞栓をする治療や、バルーンやステントを用い血管の狭窄部位を広げる治療をおこなっております。
2014年10月より稼動している当院のX線循環器システム(アンギオ装置)は、DTS(Dose Tracking System)を搭載しています。
DTSとは、患者の身長・体重・透視や撮影におけるX線の照射情報から、患者モデルに対して皮膚線量を積算し、検査中においてリアルタイムに被曝部位を表示するシステムです。これにより、より少ない放射線被ばくでより良い検査を施行しています。



CT

■Aquilion Prime SP:キヤノンメディカルシステムズ
当院では2台の高速80列マルチスライスCTが稼働しています。この装置はAI技術であるディープラーニング(深層学習)を用いて設計した世界初の画像再構成技術を搭載しています。

検査はとても簡単で短時間ながら広範囲の撮影が行え、頭部外傷・脳出血・脳梗塞等の頭部疾患から胸部疾患および腹部臓器(肝・胆・膵・腎・膀胱・その他)疾患にいたるまで、全身の診断が可能です。

またCT検査ではX線を用います。被ばくするのは避けられませんが、適正に管理された必要最低限の放射線量で撮影を行っています。安心して検査を受けてください。

通常CT検査は5分程度で終わりますが、症例によっては造影剤という病変や血管をわかりやすくする薬剤を注射します。その場合は15分程度かかります。

くわしい検査内容は、医師または放射線技師に気軽にお尋ねください。

※ 「CT検査をうける方へ」PDF


頭部(クモ膜下出血)

胸部(肺がん)

腹部(大動脈瘤)

心臓(狭窄)

MRI

■Titan 3T MRT-3010/J5、MRT-1550/JJ:キヤノンメディカルシステムズ
当院では2台のMRI装置が稼動しています。
そのうち1台は平成24年に導入された東芝メディカルシステムズ社製の3テスラMRIです。検査空間を従来よりも1.3倍に広げ「開口径71cm」の広さを確保し、より開放的な環境で検査を受けていただけます。また、内部はLED照明によって明るく、より安心していただくことができます。最新の3テスラ装置を導入することで高分解能撮影や、新しいアプリケーションでの撮影ができ、今まで難しかった非造影での血管の描出も微細なところまで可能になりました。
また、従来の3テスラMRI装置で懸念されていた、腹部、骨盤部で発生しがちな画像ムラも低減し、常時高精度な画像診断を提供しています。

MRI検査は予約制で行っています。検査時間は20分から30分程度です。全ての患者さんに検査前に検査着に着替えていただき、入れ歯やネックレス、ヘアピンなどの金属類を外して検査を行っていただきます。

※ 「MRI検査をうける方へ」PDF

3TMRI
3T MRI装置
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤
頭頸部血管
頭頸部血管

乳房検査(マンモグラフィと乳房超音波検査)

日本人女性の乳がん発症率は、今や9人に1人。特に壮年層(30~64歳)のがん死亡原因のトップですから、女性にとっては切実な問題です。
当院では、乳がん検診後の精密検査および乳腺外来受診の患者さんの検査を行っております。
女性技師による乳房X線撮影(マンモグラフィ)乳房超音波検査は、女性技師が担当しています。

乳がんは早期に発見し、適切な治療を行えば90%以上が治癒する病気といわれています。早期発見のためには月に一回のセルフチェックと年に一回の定期検診が有効です。早期の乳がん(2cm以下)は、一般に自覚症状もなく触ってもわからない事もあるためマンモグラフィや超音波検査など画像診断で発見します。触ってわかるしこりは2cm前後からといわれています。1cmのしこりは約1年で2cmの大きさになる場合があります。そのため自覚症状のないうちの定期的な検診が必要なのです。

乳房X線撮影(マンモグラフィ)

■MGU-1000D/SB:キヤノンメディカルシステムズ
乳房専用のデジタルX線装置を用いたレントゲン検査です。乳房を片方ずつ上下あるいは左右から圧迫して薄く平らにして撮影します。通常片側2方向とります。

マンモグラフィの印象はいかがでしょう?痛い検査というイメージをもたれている方が多いでしょうか?
マンモグラフィは乳房を挟んで撮影を行います。乳房は立体的でやわらかいので、撮影装置に置いて撮影するだけでは乳房の中身までは描出できません。
乳腺、脂肪、乳癌はX線の吸収に大きな差はなく、レントゲン画像で描出するのは難しいので、乳房を出来るだけ薄くし、ほんの少しの硬さの違いを描出させる必要があります。そのため乳腺をひろげて押さえなくてはなりません。また緊張して体がこわばってしまうと、乳腺を薄くひろげることができなくなってしまいますので、検査はリラックスして受けてください。

マンモグラフィで得意なのは石灰化の描出です。乳癌があるために石灰化ができることがあります。石灰化は硬く、X線をよく吸収しますのでマンモグラフィでよく描出されます。仮に腫瘍自体が描出されていなくても、石灰化の形や分布で乳癌があるとわかります。

また、当院ではステレオガイド下生検を行っております。癌を疑う石灰化のある場所を狙って組織を採取することができます。

マンモグラフィ
マンモグラフィ
病変部拡大撮影
病変部拡大撮影
マンモトームにて採取された組織
生検にて採取された組織
マンモ

乳房超音波検査

■Aplio500:キヤノンメディカルシステムズ
乳房超音波検査は、マンモエコー、乳腺エコーなどとも呼ばれます。
寝台の上に仰向けになりプローブ(探触子)をあてて乳房内部を観察する検査です。超音波を体内に送り、帰ってきた反射波を再度プローブで受信したものをコンピュータで処理して画像に変換します。
よく超音波が通るようにゼリーを塗布します。
超音波検査は、痛みもなく体への負担はほとんどありません。検査中は画像を見やすくするために検査室を暗くします。数mmの小さな腫瘤(しこり)を見つけ、その性状を詳しく描出する検査です。
また、マンモグラフィと違い被ばくや痛みの心配もありません。

線維腺腫
線維腺腫
嚢胞内腫瘍
嚢胞内腫瘍
浸潤性乳癌
浸潤性乳癌

超音波(エコー)検査

■Aplio i800:キヤノンメディカルシステムズ
超音波とは「人間の耳には聞こえない高い音」の事をいいます。超音波検査で使われる音は1MHz~20MHzの周波数です。体の表面にプローブと呼ばれる装置を当て超音波を発信し、体内から帰ってきた反射波をプローブで受信し画像として映し出します。この反射波のことをエコーというためエコー検査とも呼ばれています。検査中は体の表面にゼリーを塗ってプローブを当てていますが、これは超音波が伝わりやすくなるようにするためです。
検査する部位は腹部、血管、甲状腺、乳腺、皮膚腫瘤など多岐にわたります。被ばくがないため小児の検査にも多く用いられています。
昨年度導入した装置は、高品質・高画質が得られるハイグレードスペック機です。そのなかでも高周波プローブの進化は目覚ましく、従来に比べて消化管、血管、体表臓器などの描出が著しく向上しました。

超音波診断装置
超音波診断装置
胆石
胆石
甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍
腸重積
腸重積

核医学(RI)検査

■Symbis intevo6

診断

RI(ラジオアイソトープ)と言われる放射性医薬品を体内へ投与し、目的の臓器や疾患部位に集積したところをガンマカメラという装置で収集して処理用コンピュータで解析し画像を作成します。
2022年12月にSPECT-CTというガンマカメラとCTが一緒になった装置を導入しました。

この核医学検査には様々な種類があります。脳梗塞・パーキンソン病・認知症・狭心症・骨転移などの疾患によって薬剤を使い分けています。
放射線を放出するものを体内に投与するので怖いイメージもありますが、病院で使用する放射性医薬品は半減期(放射能が半分になる時間)が短く、生理的に排出(尿や便など)されやすいものを使用していますので安心です。

様々なアプリケーションがあり、画像を統計的に解析することができます。例えば自分が同年代の正常脳血流量と比べて同じくらいなのか、少ないのかを調べる事が出来ます。
血流が低下したところがカラーで表示され、グラフにしてみることも可能です。

機能的に優れた核医学検査画像と解剖学的に優れたCT画像を重ね合わせる事によって、より分かりやすい画像が作成可能になりました。

これは冠動脈CTと心筋シンチグラフィーの画像を重ね合わせたものです。狭窄している冠動脈により心筋の血流が低下しているのを1つの画像で見る事が出来ます。
※このCT画像はSPECT-CTのCTではありません。

治療

放射性医薬品を使用して治療を行なう事を内用療法と言います。
これは診断で使用する放射性医薬品よりも半減期が長いため、治療したい部位に長く留まり攻撃し続けます。
当院では「ゾーフィゴ」という薬剤を去勢抵抗性前立腺癌の骨転移に対して内用療法を行なっています。

放射線治療

■Infinty:エレクタ
放射線治療はX線、電子線を照射して病変(がん細胞など)を治療します。主に悪性腫瘍に対する治療法として外科手術・化学療法と並ぶ重要な役割を担っています。
当院では、常勤の放射線治療専門医が専任の診療放射線技師、看護師などのスタッフと協力し、身体への負担を考慮した適切かつ安全な治療を行っています。
放射線治療は毎日同じ場所に同じ量の放射線を正確に照射しなければなりません。照射の再現性の維持のために、ガイドラインに則った治療装置の管理(品質保証:QA,品質管理:QC)を行うこと、患者さんの身体へ印を付ける事、固定具を使用する事など様々な工夫をしています。
2017年5月に機器更新を行い、より高精度の治療(IMRT・SRS・SRTなど)が可能となりました。

診療部 放射線科」)


リニアック
(外部照射を行うための機械)

肺への強度変調放射線治療(左)

従来の放射線治療(右)
マンモ