注射薬の種類
体の外から注射でインスリンを補い、血糖値を下げるお薬です。膵臓からのインスリンの分泌には、食後の血糖値上昇により短期的に出るインスリン(追加分泌)と、血糖値を一定に保つため常に少しずつ出ているインスリン(基礎分泌)の2パターンがあります。
インスリン製剤は、これらのうちいずれか、あるいは両方を補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけられるようにします。
I. 追加分泌
薬品名 | インスリンアスパルトBS注、アピドラ注ソロスター、ヒューマリンR注ミリオペンなど |
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特徴・注意点など | 速く短く効くタイプです。主に食後の高血糖を抑えます。 |
II. 基礎分泌
薬品名 | トレシーバ注フレックスタッチ、ランタスXR注ソロスター、インスリングラルギンBS注ミリオペンなど |
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特徴・注意点など | ゆっくり長く効くタイプです。1日を通して血糖値を下げます。 |
III. 混合製剤
薬品名 | ヒューマログミックス50注ミリオペン、ライゾデグ配合中フレックスタッチなど |
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特徴・注意点など | 追加分泌、基礎分泌が混ざったタイプです。食後の高血糖を抑えるほか、1日を通しても効きます。 |
皮膚の一番薄いところと筋肉の間の皮下に注射する。
注射部位は上腕、腹部、臀部、大腿部のいずれかの部位を固定して行います。ただし、皮膚が硬くならないように、毎回2~3㎝程度ずらして注射します。
未使用のインスリン製剤:冷蔵庫(2~8℃)で保存
使用中のインスリン製剤:室温で保存
飛行機に乗る際は、必ず手荷物にして機内に持ち込んでください。
注射針は病院や薬局などで回収。注射器などの針以外のものは、家庭のゴミとして捨てる。
主に膵臓に作用してインスリンの分泌を促す作用を持つ注射薬です。
GLP-1は、インクレチンというホルモンの一つで、食事摂取などが刺激となり、消化管から分泌されるホルモンです。GLP-1は体の中のGLP-1受容体に作用し、膵臓からのインスリン分泌や、膵臓のグルカゴンというホルモンを抑え、血糖値を上がりにくくしたり、消化をゆっくりとしたり、脳に働きかけて、食欲を抑えたりします。
1日1回:ビクトーザなど
1週間に1回:トルリシティ、オゼンピックなど
血糖値に応じて作用するため、膵臓への負担が少ない薬です。体重を減らす作用もあります。血糖値が高いときだけに働くので、単独の使用では低血糖の可能性が低い注射薬です。開始時に下痢・便秘・吐き気などが出ることがあります。
低血糖
血糖値がおよそ70mg/dL以下になると、交感神経症状があらわれます。
さらに下がり50mg/dL程度になると中枢神経症状があらわれます。
普段から低血糖がよく起こる方や、低血糖症状の自覚が少ない方は、汗をかくなどの交感神経症状が出ないまま、無自覚性低血糖になることがあります。
低血糖症状は人それぞれで、必ず図の通りにあらわれるわけではありません。ご自身の症状を知っておくことが大切になります。
これらの条件が複数重なると、さらに低血糖のリスクが増します。
低血糖の症状を感じたら我慢せず、ブドウ糖10gか、砂糖の場合は倍の20gを摂取しましょう。ただし、糖の吸収を緩やかにする薬(α-グルコシダーゼ阻害薬:ボグリボース、ミグリトール、ベイスン、セイブルなど)を内服している方は、必ずブドウ糖を摂取してください。
15分後症状が改善しないときは、もう一度ブドウ糖を摂取してください。
意識がなくて口からブドウ糖を摂れない場合は、口唇と歯茎の間に塗り付け、すぐに救急車を呼び、医療機関へ行きましょう。
薬物療法を始める際には、家族などの自分の周囲の人にも低血糖になったときの対応について説明し、協力を求めましょう。
運転をされる方は、車にブドウ糖やブドウ糖を多く含む食品を必ず常備しておきましょう。運転直前に血糖値が100mg/dL以上であることが望ましいです。
補食とは決められた指示カロリー以外の食事のことを言います。
低血糖の対処をした後、次の食事まで時間がある場合や、夜間だった場合は補食をしましょう。一度にたくさん取らず、血糖値が上がっているか確認しながら、不足していればその分補充するようにしましょう。
補食の量は、0.5~1単位(40~80Kcal)の範囲です。
内容は、冷凍おにぎり1個分、6枚切り食パンの半分、ビスケット2~3枚などになります。