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第8回 糖尿病と足【フットケアについて】(糖尿病看護認定看護師 田邊 彩子)

糖尿病と足はとても深い関係があります。
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、糖尿病の合併症である神経障害によって感覚が鈍くなったり、動脈硬化などによる血流障害も起こりやすく、水虫などの感染に対する抵抗力も低下します。

    
    

靴ずれや傷、やけど、タコやウオノメなどが加わることにより、足に潰瘍などができやすくなります。さらに、血糖値が高い状態では、傷の治りを遅らせるため、一度悪くすると治りにくくなります。
そのため、糖尿病の人は足の観察やケアをしていくことがとても大切になります。

足のトラブルが起こりやすいかチェック

一つでもチェックがある場合は注意が必要です。

  • 血糖値・HbA1cが高く、糖尿病のコントロールが不十分である
  • 透析治療を受けている
  • 足のゆびや爪の変形、タコ・ウオノメがある
  • 神経障害や血流障害があると言われている
  • 視力が低下しており、足を見たり爪を切ったりできない
  • 一人暮らしの高齢者(周囲の人が異常に気付く機会が少ない)
  • ヘビースモーカー

足を守っていくためには ~フットケアについて~

1.毎日足をよく観察しましょう

素足を明るい場所でよく観察し、傷や水虫、ヤケド、爪の変形、タコ(胼胝〈べんち〉)やウオノメなどがあれば、早めに相談しましょう。また、傷などが見えづらい場合はご家族に協力してもらいましょう。

2.足の清潔を保ちましょう

石鹸を泡立てて優しく洗い、水分はよくふき取りましょう。乾燥する場合は、保湿クリームを塗りましょう。

3.自分に合った靴を選びましょう

靴底はクッション性があり、足全体にフィットし、つま先にスペースがあるものを選びます。靴を履くときは、靴の中に小石などが入っていないか確認しましょう。

4.靴下を履きましょう

締め付けすぎない綿かウールの素材を選びましょう。汚れや出血がわかりやすいよう色の薄いものを選ぶことをお勧めします。靴を履いていない時も靴下を履くことで、ケガの予防につながります。

5.爪は切りすぎないようにしましょう

深爪しないように注意しましょう。自分で切りにくい場合はご相談ください。

6.やけどに気を付けましょう

糖尿病で神経障害があると、温度の感覚も鈍くなり、ヤケドを起こしやすくなります。特に冬場のアンカやカイロなどでの低温ヤケドは注意が必要です。

日頃から足をよく観察し、足のケアを行うことで、足のトラブルを予防することができます。また、潰瘍・壊疽となる前に、早めに受診し治療していくことが重要です。

(参考文献:糖尿病療養指導ガイドブック 2022 日本糖尿病療養指導師認定機構 編・著
糖尿病ネットワーク 糖尿病セミナー 17.足の手入れ https://dm-net.co.jp/seminar/17/)